茶屋建築KIMUSUKO LATTICE
一階に細かな出格子「木虫籠」、二階は座敷のために天井を高く。外から中は見えず、中から外は見える——町家とは異なる茶屋様式の粋。
加賀百万石 城下町金沢
HIGASHI CHAYA DISTRICT — KANAZAWA
ひがし茶屋街とは、石川県金沢市東山にある金沢最大の茶屋街。文政三年(1820)、加賀藩の公許によって浅野川の東岸に開かれ、芸妓がもてなす「お茶屋」の文化を二百年にわたり受け継いできた街です。
弁柄色の出格子「木虫籠(きむすこ)」と石畳の目抜き通りには、いまも現役のお茶屋が軒を連ね、夕暮れには三味線の音が路地に滲みます。2001年には国の重要伝統的建造物群保存地区に選定され、江戸期の街割と茶屋様式の町並みがほぼそのまま残ります。
藩の都合による廃止と再興、明治・大正の隆盛、戦後の転換——。二百年のあいだ時代に翻弄されながらも、この街は「芸」を軸に生き続けてきました。金箔工芸や和菓子など金沢の美意識が集まる場所でもあり、志摩(国指定重要文化財)や懐華樓では、往時のお茶屋建築を内部まで見学できます。
出格子が連なる石畳の路地には、いまも夕暮れどきに三味線の音が滲む。弁柄格子の紅、金箔の光、磨かれた飴色の木の艶——。


一階に細かな出格子「木虫籠」、二階は座敷のために天井を高く。外から中は見えず、中から外は見える——町家とは異なる茶屋様式の粋。
一万分の一ミリまで打ち延ばされる金。国内シェア99%を誇る金沢箔は、工芸だけでなくソフトクリームや化粧品にまで姿を変える。
茶屋を改装した甘味処で、上生菓子とお抹茶を。京都・松江と並ぶ菓子どころ金沢の意匠は、季節を半歩先取りする。
いまも「一見さんお断り」の伝統を守るお茶屋が残る。日が落ちる頃、格子の奥から漏れる三味線と太鼓の稽古の音に耳を澄ませて。

国指定重要文化財。1820年建築のお茶屋をそのまま公開。二階の座敷で、往時の茶屋遊びの空間を体感できる。

金沢最大級のお茶屋建築。昼は見学とカフェ、夜はいまも一見さんお断りのお座敷が上がる。

箔貼り体験でお箸や小箱に金箔を。名物・金箔ソフトクリームもこの街ならではの楽しみ。

茶屋建築を改装したカフェで、上生菓子と抹茶、加賀棒茶を。格子越しに入る光が美しい。

「女川」と呼ばれる優美な流れ。木造の梅ノ橋から、茶屋街の屋根並みと川面を一望できる。

茶屋街の鎮守で、金沢五社のひとつ。節分には芸妓さんの豆まきで賑わう。
川沿いの桜並木が、街を薄紅に染める。


川風と祭囃子。夕暮れの散歩が心地よい。


深まる夕日と紅葉が、弁柄格子に映える。


雪の屋根と静寂の石畳。一年で最も凛とした顔。


「街は、急がない人にだけ、本当の顔を見せる。」
金沢には「ひがし」「主計町」「にし」の三つの茶屋街があります。ひがし茶屋街を起点に、歩いて・バスで、雰囲気の違う二つの街へ。
金沢最大の茶屋街。いまご覧のこのガイドの本拠地です。
浅野川の川端に茶屋建築が連なる、しっとりとした裏路地。ひがし茶屋街から徒歩数分で行き来できます。
主計町茶屋街を見る →犀川のほど近く、落ち着いた通りに甘味の名店が集まるもうひとつの茶屋街。
にし茶屋街を見る →この街を毎日歩いている地元の編集部が、現地で確かめたことだけを記事にしています。ランチも、駐車場も、雨の日の過ごし方も——歩きはじめる前に、どうぞ。
※ 街は今も人々が暮らす生活の場です。静かな観賞と、住まいへの配慮を。