金沢三茶屋街の違いを比較|ひがし・にし・主計町どこへ行くべき?
金沢には「ひがし」「にし」「主計町(かずえまち)」の3つの茶屋街があります。「全部回るべき?」「1つだけならどこ?」という質問に、東山のブックカフェ編集部の店から答えます。
先に結論を書くと、3つは同格ではありません。開かれた年も、国の保存地区に選ばれているかどうかも、観光協会が示す所要時間の目安も違います。並べて比べると、選び方はかなりはっきりします。
結論:ひがし+主計町は同じ川沿い、にしだけ別行動
- 1つだけなら、ひがし茶屋街。 規模も見どころも最大で、観光協会の所要時間の目安も最長(約60分、詳しく歩くなら2時間)
- 2つ回るなら、ひがし+主計町。 浅野川を挟んで徒歩5分。追加の交通費はかかりません
- にし茶屋街は犀川の南で、街の反対側。 三茶屋街のなかで唯一バスが要る移動になります
- にしは1つだけ、性格が違います。 ひがしと同じ1820年に開かれながら、国の重要伝統的建造物群保存地区には選ばれていません
- 3つ全部なら、見学時間だけで約2時間半。 移動とバス待ちを足すと半日仕事です
三茶屋街 比較表
公的資料で確認できる項目だけを並べました。数字の出典は記事末尾にまとめてあります。
| ひがし茶屋街 | 主計町茶屋街 | にし茶屋街 | |
|---|---|---|---|
| 場所 | 東山(浅野川の右岸) | 浅野川の左岸 | 野町(犀川の南) |
| 開かれた年 | 1820年(文政3年)加賀藩の公許 | 明治期に成立 | 1820年(文政3年)加賀藩の公許 |
| 国の重要伝統的建造物群保存地区 | 「東山ひがし」2001年11月14日 | 「主計町」2008年6月9日 | 選定なし |
| 保存地区の面積 | 約1.8ヘクタール | 約0.6ヘクタール | — |
| 観光協会の所要時間の目安 | 約60分(詳しく歩くなら2時間) | 約60分 | 約30分 |
| 最寄りのバス停 | 「橋場町」徒歩約5分 | 「橋場町」徒歩約5分 | 「広小路」徒歩約3分 |
| 城下まち金沢周遊バス | 右回りが停まる | 右回りが停まる | 左回りのみ |
| お茶屋の軒数(金沢おどり公式の掲載) | 4軒 | 4軒 | 5軒 |
| 主な見どころ | お茶屋見学・金箔・食べ歩き | 暗がり坂・あかり坂・泉鏡花記念館 | 西茶屋資料館(無料)・甘納豆・妙立寺 |
表で目を引くのは、たぶん下の2行です。営業しているお茶屋の軒数だけを見ると、いちばん多いのはにし茶屋街(金沢おどり公式サイトの掲載で5軒)。観光地として最大なのはひがしですが、花街としての現役度は数字の上では逆転します。
もうひとつは保存地区の行です。金沢市には4つの伝統的建造物群保存地区がありますが、にし茶屋街のある野町2丁目は、そのどれにも入っていません。犀川の南側は「寺町台伝統的建造物群保存地区」(約22.0ヘクタール、2012年12月28日選定)ですが、区域は野町1丁目・3丁目、弥生1丁目、寺町3〜5丁目の各一部で、野町2丁目は含まれていません。街並みの保存という物差しで見ると、ひがし・主計町とにしは立場が違います。
ひがし茶屋街:1つだけ選ぶならここ
金沢市観光協会は、ひがし茶屋街の所要時間を約60分(定番コース)、詳しく散策するなら2時間程度としています。三茶屋街のなかで唯一、「2時間かけてもいい」と案内されている街です。
1820年に加賀藩の公許で開かれ、2001年11月14日に「東山ひがし」として国の重要伝統的建造物群保存地区に選ばれました。保存地区の面積は約1.8ヘクタールで、これは主計町の3倍です。
やることも三茶屋街で最も多く、志摩と懐華樓のお茶屋見学、金箔貼り体験、お土産の買い出し、着物レンタルが徒歩圏に揃っています。初めての金沢で茶屋街に1回しか行けないなら、迷わずここです。
行き方はひがし茶屋街への行き方に、車で来る場合は駐車場の記事にまとめてあります。街の成り立ちはひがし茶屋街の歴史へ。
主計町茶屋街:ひがしとセットで歩く街
浅野川を渡ってすぐ、徒歩約5分の距離にあります。金沢市観光協会は主計町へのアクセスを、ひがしと同じ「橋場町」バス停から徒歩約5分としています。同じバス停が2つの茶屋街の中間点になっている、という位置関係です。
ひがしと決定的に違うのは成り立ちと川です。ひがしが江戸期に藩の公許で開かれたのに対し、主計町は明治期に成立しました。国の保存地区に選ばれたのも2008年6月9日と、ひがしより7年遅い。そして浅野川に面して三階建ての建物が並ぶのは、金沢の茶屋街では主計町だけの景色です。
見どころは暗がり坂とあかり坂という2本の細い坂、そして泉鏡花記念館(一般310円・火曜休)。街歩き自体は無料です。
歩き方は主計町茶屋街とひがし茶屋街を合わせて巡る1時間コースに、街の概要は主計町茶屋街のページにまとめています。
にし茶屋街:静けさと甘味、そして忍者寺

犀川大橋の南、野町にあります。ひがし茶屋街と同じ1820年(文政3年)に加賀藩の公許で開かれた茶屋街で、出格子の美しい二階建ての茶屋建築に老舗割烹が軒を並べます。金沢市観光協会は、夕暮れ時に着飾った芸妓が街を歩き、三味線の音が流れる街として紹介しています。
ただし通りは短い。観光協会が示す所要時間の目安は約30分で、ひがしや主計町の半分です。「にし茶屋街だけを目的に行く」と、街並みを見終わってから手持ち無沙汰になりがちです。周辺とセットで組むのが前提の街だと考えてください。
西茶屋資料館 — 無料でお茶屋の座敷が見られる

にし茶屋街の中心にある市の施設です。大正期の作家・島田清次郎が幼少期を過ごしたお茶屋「吉米楼(よしよねろう)」の跡地に建てられており、1階に島田の関係資料、2階に当時のお茶屋の座敷が再現されています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 入館料 | 無料 |
| 開館時間 | 9:30〜17:00 |
| 休館日 | 無休 |
| 住所 | 金沢市野町2-25-18 |
| 電話 | 076-247-8110 |
| アクセス | 「広小路」バス停から徒歩約3分 / 金沢ふらっとバス長町ルート「にし茶屋街」バス停から徒歩約2分 |
| 所要時間の目安 | 約30分 |
無料でお茶屋建築の座敷に上がれるのは、金沢の三茶屋街ではここだけです。ひがしの志摩・懐華樓は有料なので、「お茶屋の中を見たいが予算は抑えたい」という人には、にしまで足を延ばす理由になります。
甘納豆かわむら
にし茶屋街で名前が挙がることの多い甘納豆の専門店です。2階に喫茶「サロン・ド・テ・カワムラ」を併設しています。
| 本店 | 2階 サロン・ド・テ | |
|---|---|---|
| 営業時間 | 平日 9:30〜18:00 / 日祝 9:00〜17:00 | 平日 10:00〜17:00(閉店17:30) / 日祝 10:00〜16:00(閉店16:30) |
| 定休日 | 第1火曜日(1月・5月・12月は営業)、12/31〜1/3 | 第1火曜日(1月・5月・12月は営業)、冬季休業 12/22〜1/4 |
住所は金沢市野町2-24-7、電話は076-282-7000です。第1火曜が定休なので、その日に行く予定なら組み替えてください。
妙立寺(忍者寺) — 電話予約が必須
にし茶屋街から歩ける範囲にある寺町寺院群の1つで、「広小路」バス停から徒歩3分。落とし穴や隠し階段の仕掛けで知られています。
拝観には必ず電話予約が必要です。(076-241-0888 / 受付8:30〜17:00)。当日でも空きがあれば入れますが、定員になり次第締め切られます。
- 拝観料:大人(中学生以上)1,200円 / 小学生800円
- 拝観時間:9:00〜16:00(平日は1時間ごと、土日祝は30分ごとの案内)
- 所要時間:約40分
- 未就学児は拝観できません。小学校低学年は年齢を証明できるもの(保険証など)が必要
にし茶屋街の散策30分に忍者寺の40分を足すと、この一帯だけで1時間半近くになります。「にし茶屋街は短いから」と軽く見ていると、時間の読みを外します。

にし茶屋街そのものの概要はにし茶屋街のページにもまとめています。
ひがし茶屋街からにし茶屋街への行き方
ここがいちばん間違えやすいところです。
城下まち金沢周遊バスの右回りには、「広小路」バス停がありません。 右回りが停まるのは金沢駅東口・武蔵ヶ辻・瓢箪町・森山一丁目・橋場町・兼六園下・広坂・香林坊・南町の順で、にし茶屋街方面には行かないルートです。
一方、左回りは「広小路」を通りますが、順番が逆です。左回りは金沢駅東口→武蔵ヶ辻→南町→香林坊→片町→広小路→桜橋→本多町→広坂→兼六園下→橋場町→武蔵ヶ辻という順に回ります。つまり橋場町で左回りに乗ると、広小路は「もう通り過ぎた後」。乗ったままだとほぼ一周することになります。
現実的なのは香林坊での乗り換え
- ひがし茶屋街の「橋場町」から、周遊バス右回りに乗る
- 「香林坊(旧日銀前)」で降りる
- 「香林坊(アトリオ前)」から、周遊バス左回りに乗り換える
- 片町の次、「広小路」で降りる。にし茶屋街まで徒歩約3分
周遊バスは1周約45分・右回りは約15分間隔、左回りは約20分間隔で走っています。運賃は1乗車おとな220円・こども110円です。
この日に3つの茶屋街を回るなら、1日フリー乗車券(おとな800円・こども400円)を先に買ってください。 上の乗り換えだけで2回、往復すれば4回。220円×4回=880円なので、乗り換えを含めて4回乗る時点で元が取れます。ただし車内では売っていないので、金沢駅などの窓口かホテルで先に買う必要があります。
近江町市場に寄るなら、ふらっとバスも使える
にし茶屋街のすぐそばには、金沢市のコミュニティバス「金沢ふらっとバス長町ルート」の「にし茶屋街」バス停があります。資料館まで徒歩約2分と、周遊バスより近い。武蔵ヶ辻・近江町市場が発着なので、近江町市場で昼を食べてからにし茶屋街へという動線なら、こちらのほうが自然です。
- 運賃:大人100円・小学生50円(周遊バスの半額以下)
- 長町ルートは全国交通系ICカード(Suica・ICOCA・PiTaPa など)が使えます
- 金沢市内1日フリー乗車券もそのまま使えます
長町ルートは長町武家屋敷跡も通るので、「にし茶屋街+長町武家屋敷」の組み合わせとも相性がいいです。
何個回る?時間別の組み立て方
1時間:ひがしだけ
観光協会の定番コースの目安がちょうど約60分です。街並みを歩いて、食べ歩きを少し。お茶屋見学まで入れるなら2時間見てください。
2時間:ひがし+主計町
浅野川を渡るだけなので、移動は徒歩5分・追加費用ゼロ。金沢市観光協会も、この2つを合わせた2時間のモデルコースを公開しています。時間あたりの満足度は、この組み合わせがいちばん高いと思います。手順は合わせて巡る1時間コースに書きました。
半日:三茶屋街ぜんぶ
観光協会の目安を単純に足すと、ひがし60分+主計町60分+にし30分=約2時間30分。ここに橋場町⇔広小路のバス移動と乗り換え待ちが加わります。周遊バスは1周約45分・15〜20分間隔なので、移動だけで往復1時間前後を見ておくのが安全です。合計で4時間前後、つまり半日の予定になります。
順番はひがし→主計町→(バス)→にしをおすすめします。理由は3つです。
- ひがしと主計町は徒歩でつながっているので、先にまとめて片づけたほうが効率がいい
- にし側の妙立寺は拝観16:00まで・要電話予約。午後の遅い時間に着くと入れません
- ひがしのお土産店はほぼ17時に閉まります。買い物を最後に回すと詰みます
忍者寺に入るなら、朝いちで電話予約を取ってから動き出してください。 ここだけは「行ってから決める」ができません。
よくある質問
3つ全部回ると何時間かかる?
見学時間だけで約2時間30分です。 金沢市観光協会が示す所要時間の目安が、ひがし約60分・主計町約60分・にし約30分。これに移動が加わります。ひがし⇔主計町は徒歩約5分ですが、ひがし⇔にしはバスの乗り換えが必要で、周遊バスは1周約45分・15〜20分間隔。待ち時間込みで4時間前後、半日と考えておくと無理がありません。
移動はバス?タクシー?
ひがしと主計町のあいだは徒歩です(約5分)。バスに乗る必要はありません。
ひがしとにしのあいだはバスです。 周遊バス右回りで橋場町→香林坊、左回りに乗り換えて香林坊→広小路。3回以上乗るなら1日フリー乗車券(800円)のほうが安くなります。近江町市場を経由するなら、100円のふらっとバス長町ルートという手もあります。
タクシーなら乗り換えは不要ですが、料金は距離と時間帯で変わるので、乗る前に確認してください。
にし茶屋街だけ行く価値はある?
「にし茶屋街だけ」はおすすめしません。 通りが短く、観光協会の目安も約30分です。ただし、西茶屋資料館(無料)・甘納豆かわむら・妙立寺の3つをまとめて回るなら、半日の行き先として十分に成立します。長町武家屋敷や21世紀美術館とつなぐ動線もつくりやすい場所です。
いちばん空いているのはどこ?
金沢市観光協会は、ひがし茶屋街を「金沢の風情を色濃く残す」代表的な観光スポットとして紹介しており、所要時間の目安も三茶屋街で最長です。にしと主計町は、観光協会の想定所要時間がひがしの半分以下(にしは約30分)。街の規模がそのまま人の多さに効くので、静かに歩きたいなら、にしか主計町ということになります。
なお主計町もにしも、いまも料亭やお茶屋が営業している生活の場です。大声を出さない、店の玄関先に長く立ち止まらない、といったところは気をつけてください。
芸妓の芸に触れられるのはどこ?
三茶屋街のいずれでもお茶屋が営業しています。 金沢おどり公式サイトの掲載では、ひがし4軒・主計町4軒・にし5軒。観光客が芸に触れる方法は芸妓・お茶屋文化の記事にまとめました。
駐車場はどこも近くにある?
にし茶屋街に駐車場はありません(金沢市観光協会の案内。付近に市営観光駐車場あり)。主計町にも街の中に駐車場はなく、浅野川の対岸=ひがし茶屋街側の駐車場を使うことになります。車で三茶屋街を回るのは、正直あまり向いていません。 ひがし側に停めて、にしへはバスで往復するのが現実的です。停め方は駐車場の記事にまとめています。
着物で3つ全部回れる?
歩けますが、時間の読みは厳しめに。 ひがし⇔主計町は徒歩5分なので問題ありませんが、にしまで行くとバスの乗り降りが2回加わります。返却時刻のあるレンタルなら、ひがし+主計町にとどめるほうが安全です。詳しくは着物レンタルの記事へ。
※料金・営業時間・所要時間の目安・保存地区の面積と選定年月日・バスの運賃と運行間隔は、2026年8月23日時点で以下の公的資料・公式サイトで確認したものです。訪問前に最新情報をご確認ください。
- 金沢市観光協会 金沢旅物語:「ひがし茶屋街」 / 「にし茶屋街」 / 「金沢市西茶屋資料館」 / 「妙立寺(忍者寺)」 / 「主計町茶屋街」 / 「城下まち金沢周遊バス」 / モデルコース「ひがし茶屋街&主計町茶屋街 定番モデルコース(2時間)」
- 金沢市:「東山ひがし伝統的建造物群保存地区」 / 「主計町伝統的建造物群保存地区」 / 「寺町台伝統的建造物群保存地区」 / 「金沢ふらっとバス 運賃について」
- 石川県公式観光サイト ほっと石川旅ねっと:「にし茶屋街」 / 「金沢市西茶屋資料館」
- 北陸鉄道「城下まち金沢周遊バス」(運賃・運行間隔・停留所の順番)
- 甘納豆かわむら 公式サイト 店舗情報
- 金沢おどり公式サイト「金沢の三茶屋街」(各茶屋街のお茶屋の掲載軒数)
ひがし茶屋街の歩き方全体は完全ガイドから。街の成り立ちはひがし茶屋街の歴史、残り2つの茶屋街は主計町茶屋街・にし茶屋街のページにまとめています。ひがし茶屋街のお店は店舗一覧、この先の催しはイベント一覧へ。